大判例

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東京高等裁判所 昭和51年(う)383号 判決

被告人 溝口孝之助

〔抄 録〕

原判決挙示の証拠のうち、被告人の原審公判廷における供述、司法警察員および検察官(昭和五〇年八月二七日付)に対する各供述調書、伊藤光二の司法巡査に対する供述調書、捜査報告書によれば、被告人は本件事故を惹起した後、現場にかけつけた伊藤光二と協力して被害者を自車にのせて近くの坂本外科医院に運んで応急手当をうけさせた後、被害者の両親に電話連絡し、その後被害者が大腿骨を骨折していることが判明したので、大事をとって、被害者を五反田の関東逓信病院に転院させるため、自車を運転して被害者を同病院に運んで入院させたうえ、被害者の両親を自宅まで送りとどけるなどした後、本件事故発生から約七時間を経過した同日午後九時一〇分ころ、渋谷警察署に出頭し、本件事故につき法定事項を報告したことが認められるのであるが、報告義務を履行するには、電話による届出あるいは他人を介する届出ででも足りることと、被告人が本件事故を惹起してから右警察署に出頭するまでの前認定のごとき経緯、経過時間等を考慮すると、被告人が前記法条にしたがい、直ちにもよりの警察署の警察官に本件事故につき法定事項の報告をしたものとは認め難く、また記録を調査しても、被告人において、本件事故の発生と接近した合理的な時間内に遅滞なく、右報告義務の履行をすることが不可能であった事情は認められないから、原判決には所論指摘のごとき法令適用の誤りは存しない。

(綿引 石橋 藤野)

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